お香
香りは欠かせない・・・、今こういう私があるのも実家の暮らしにみることが出来るのでは?と思うことがある。
実家には香炉が玄関に備えられていた。
内一つの香炉が「老人と海」に出てくる、まるであの老人をモデルにしたかの様なおじいさんがパイプをくわえているもの。
その口からお香の煙が立ち上る。
こどもの頃、それが面白くジーと見ていた記憶が残っているが、そのおじいさんは目が据わっている気がして余り好きになれなかった。
だけど不思議にお香の少し粉っぽい様な、甘く柔らかい香りが好きになっていった。
高校へは、毎日江ノ電での通学。
平日は学生貸し切り状態の江ノ電が、週末・土日になると観光客で溢れかえる。
鎌倉には名刹や花の名所も多いため、季節を問わず訪れる人に恵まれる。
ある夏の夕暮れ時、海風がやけに湿っぽい日だった。
その時地元の人なのか、観光の人なのか、とても美しいなと思う大人の人が扇子を開いた。
と、同時にほのかに甘い香りが私に触れ香りの相乗効果もあったのか、私はその人を終着駅の藤沢まで見続けていることになった。
今でも忘れられない香りと共にある私の記憶。
その大人っぽく感じた香りが’白檀’であると知ったのは後のこと。
扇子の香り付けに昔から用いられているので、結びつく方も多いのでは?
そして、実家で焚いていたのも白檀。
白檀には脈拍を落ち着かせ、心を静める効能をもつ。
そのせいか、仏教儀式に白檀が多く使われている。
でも・・・、高校生の私はその香りでその美しい大人にドキドキと心拍数が上がった訳ですが・・・(笑)
香りと共にある記憶、皆さんにもきっとあるはず。
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